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2020年4月3週号
県内の酪農をけん引 - 千葉肇さん
 横手市増田町増田で酪農を営む千葉肇さん(66)。秋田県酪農連盟の副会長や横手市農業委員会の委員を務め、食育教育の推進に取り組むなど、地域の酪農をけん引している。

 千葉さんは高校卒業後、当時の県立農業大学園で2年間畜産を学び、茨城県の牧場で1年間の修業を経て就農した。
 現在はつなぎ牛舎で搾乳牛33頭と乳用種の子牛2頭、受精卵移植で生まれた和牛子牛10頭の計45頭を飼養。年間生乳生産量は約300㌧で、全量をJA全農あきたへ出荷する。
 また、デントコーン3・5㌶を栽培する他、家畜人工授精師の資格を持ち、県内の畜産農家を訪れ、年に約100頭の種付けも請け負っている。
 千葉さんの一日は朝4時の起床で始まる。牛舎内のふん尿処理や敷料の補充、飼槽の清掃をした後、給餌と搾乳をこなし、午後5時から8時半頃にかけて2回目の給餌と搾乳を行う。
 管理面で特に大事にしているのは「牛に対して優しく接すること」と千葉さん。ストレス軽減のため、牛舎を清潔な状態に保ち、病気や事故の予防に取り組む。

 15年前からは、秋田県牛乳普及協会が主催する酪農体験学習「わくわくモーモースクール」に講師として参加し、市内の小学生に搾乳の仕方などを指導している。
 「子供たちの中には、『動物は臭い』という先入観があり、牛を見た瞬間に鼻をつまんで見せる子もいる」と千葉さん。そういった子が実際に牛と触れ合い、授業の終盤には抱き着いて愛情込めて接する姿を見ると、「短い時間で動物に対する考え方がこんなに変わるのか、とうれしい気持ちになる」とほほ笑む。

 30年以上前から千葉さんの元へ往診する藤原家畜診療所の藤原憲獣医師は、「千葉さんは真面目で勉強熱心な方。定期的に全県の酪農家を集めて情報交換の場を作るなど、リーダー的存在です」と話す。
 「秋田県は東北で最低の飼養頭数と生産量で、高齢化や後継者不足といった問題もある」と千葉さん。今後は、「県や市、JAなどの機関と連携し、次に続く人たちが希望をもって酪農を始められるような環境づくりをしたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!