2021年6月2週号 収入保険 保険金等受け取り④
ナシ降霜・雹で6割減収 - 渡部博英さん
男鹿市五里合地区でナシ1・1㌶を栽培する渡部博英さん(56)。「さまざまなリスクから農業経営を守ってくれる収入保険に、とても魅力を感じている」と話す。
以前は果樹共済の特定危険方式に加入していたが、2021年産で廃止になることを知り、収入保険がスタートした19年に移行した。渡部さんはNOSAIの果樹損害評価員を務め、被害発生時は損害評価に出務する。「農作業と並行して評価を行うため、大変で気苦労が絶えない。その点、収入保険は評価の煩わしさを感じず、収入金額が基準となるため分かりやすい」と話す。
また、共同選果場へ出荷するため、買い取り価格が市場卸価格に大きく左右される。豊作で買い取り価格が低下し、収入が減少する場合も踏まえたという。
昨年は複数回の降霜や降雹ひょう被害で、過去に例のない不作となった。価格は例年より高騰したが、収穫量が平年の4割となり経営に大きな打撃を受けたという。ショックだったが、つなぎ融資を受けることができ、落胆せず農作業に取り組めている。本当に助かった」と話す。
「ナシは冬の剪せん定てい作業から始まり、発芽以降は降霜や降雹、台風と栽培期間中は心配が尽きない。収穫が終わる10月まで不安を感じながら農作業しなければいけないので、保険の加入は必要不可欠」と考えている。
今のところ収入保険にはメリットしか感じないというが「あえて言うなら、保険方式部分の補償限度を90%に引き上げてほしい。さらに保険金の支払率が100%になってくれれば」と制度の充実を望む。
次号をお楽しみに!