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あきた版3月1週号
休耕農地で菜の花 - 佐藤清志さん
 有限会社佐藤興業を経営する羽後町軽井沢の佐藤清志さん(71)は、近隣の休耕農地を借り入れ、菜の花約8㌶を栽培する。5月中旬から6月末ごろの花盛りの時期は一面黄色の景色が広がり、観光客も訪れる。刈り取り後、製造した菜種油を取引先に進呈。景観維持以外にも農地の有効活用を図るため、栽培に力を注ぐ。

 水稲1・8㌶を手がける佐藤さん。米の生産調整などによって近隣で増え続ける耕作放棄地を見て、このままだとふるさとが荒れ果ててしまうと思っていた。そんな時、由利本荘市の菜の花畑を目にし「自分もやってみたい。起伏に富んだこの土地だと奇麗な景色になりそう」と栽培を決意。2015年に趣味として作付けを始めた。
 毎年9月、菜種採取に向いている「キザキノナタネ」を播種。耕起は整地や播種時を含めて4~5回丁寧に行う。「肥料も欠かさずに与えている。価格高騰を見込んで数年分購入しているが、今後が心配だ」と佐藤さん。「菜の花は湿度に弱く、排水をしないと枯れてしまう。連作障害もあるため、作付け圃場のローテーションなどの対応が必要。趣味の割には手間がかかるが、手を抜かずに作業している」と話す。
 見頃を終えた菜の花は7月ごろ、70㌃分を菜種油採取用に収穫する。同町の「農業生産法人 株式会社そば研」に依頼してコンバインで刈り取り。元タバコ農家から借りた作業場で乾燥させる。カビの発生を防ぐため、2~3日に1度混ぜているという。
 昨年は平年よりも多い約1・6㌧の菜種が出来上がった。由利本荘市の株式会社秋田ニューバイオファームへ委託し、菜種油を700本製造。建設業の取引先や関係者、地域住民などへ進呈した。「『おいしかった』と言われるとうれしく、頑張ったかいがある」と話す。
 地域住民を元気づけたいとの思いで菜の花栽培を続けてきたが、近年は観光客が増加。昨年からは、案内の看板や休憩所を設置した。観光客によく道を尋ねられるという近隣住民の横山国男さん(75)は「道を教えて、菜の花畑を見た観光客が感動して帰って行くのを見ると、こちらもうれしくなる」と話す。
 佐藤さんは「奇麗な菜の花畑を見に来て喜んでくれる人がいるので、今後も続けていきたい」と笑顔を見せる。
次号をお楽しみに!