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あきた版4月3週号
昔ながらの漬物 共同加工所で製造 ともし続ける - 漬物伝承会
 2023年3月に大館市曲田の農産物直売所「陽気な母さんの店」が新設した漬物の共同加工所を、同時期に会員7人で立ち上げた「漬物伝承会」が管理する。加工所を活用し、昔からある自家製漬物の味を伝承したいとの思いで奮闘する。
 食品衛生法の改正に伴い、漬物は製造や販売の要件が厳格化され、同会員の自宅や作業場の改修が負担になると見込まれた。同会員が製造を断念する状況に陥ると考え、共同加工所建設を決意したという。同会の小畑昭子リーダー(78)は「会員が昔から作り続けてきた自家製漬物の味を絶やしたくなかった」と話す。
 秋田県農業公社が、県の委託で設置した秋田県農山漁村発イノベーション(6次産業化)サポートセンターの支援を受け、勉強会を何度も重ね、漬物の味を追求する。同会では個々で漬けた商品を出荷。同会員によってさまざまな製法やレシピが数多く存在する。現在は昨年6月から漬けたウメを袋詰めし、毎月約200袋を製造する。価格は200㌘税込み450円。陽気な母さんの店で販売するほか、東京都港区にある県アンテナショップへ出荷している。
 今後の課題は、同会員の減少と自家栽培の縮小による野菜不足の解消だ。同店に野菜を出荷している鹿角市花輪の兎澤茂樹さん(44)は「漬物用野菜が不足していると聞き、協力を申し出た。長年、自家栽培の野菜で漬物を作り続けてきたお母さんたちが、高齢になり作付けできなくなってきている現状を目の当たりにし、応援したかった」と話す。
 かつては保存食として消費されてきた塩辛い漬物。時代の変化で、最近ではサラダ感覚で食べられるものが好まれている。昨年製造したカブやニンジン、キュウリを食塩と麹こうじ、蒸し米で混ぜ合わせた三五八漬けで作った「春の香り漬け」は好評だった。
 今年5月1日から同店で開催予定の「お客様感謝セール」でも販売できるよう準備している。小畑リーダーは「共同加工所を生かして、若い人を呼び込みたい。会員以外の加工所利用を進めることで、地域を活性化し、漬物販売と伝統をつないでいきたい」と話している。
次号をお楽しみに!