あきた版6月3週号
高温対策超える被害 - 傳野猛さん
美郷町野荒町の傳野猛さん(62)はビニールハウス7棟でトマトを栽培。2020年に収入保険へ加入した。以前は水稲との複合経営を行っていたが、22年から水稲栽培を農業法人へ委託している。昨年の猛暑でトマトの収量が大幅に減少し、保険金を請求した。
野菜は農業共済制度の対象ではなく、野菜価格安定制度は収量の減少に対応していない。そのため、品目にかかわらず、万が一の事態に対応できる収入保険を選択した。「緊急で資金が必要な場合は、つなぎ融資が利用できる。資金繰りを心配せず安心して営農に取り組めている」と話す。
トマトは、暑さに強い「りんか409」を栽培。遮光ネットやミストの散布装置など高温対策をしているが、昨年は猛暑の影響で生育不良に陥った。平年で10㌃当たり10㌧の収量が約6㌧まで減少した。
トマトが品薄状態になり、1㌔当たりの単価は300円ほどから350円程度まで上昇したが、それ以上に収量が減少し、かなりの減収に。「トマトを出荷した秋の段階で、平年と比べ収入が大幅に減少していると感じた。つなぎ融資の申請は行わなかったが、保険金が想像以上に支払われてありがたかった」と安堵する。
近年は基盤整備や農地の集約化などで面積が大規模化し、水稲だけでなく野菜栽培に取り組む農業者が増えていると感じる傳野さん。「青色申告を行う農業者という加入要件はあるが、万が一の備えとしてぜひ加入を検討してほしい」と話す。
現在はアルバイト2人と共に3人でトマトを栽培。一昨年は日照不足、昨年は猛暑が原因で、保険金を受け取った。「収量減少や価格低下などさまざまな要因に対応できる収入保険に継続加入したい。災害の有無にかかわらず、平年の収量を維持するよう気を付けて経営したい」と意気込む。
次号をお楽しみに!