2019年9月1週号 個性光る米品種②
一穂積、百田 - 菅諭志さん
【湯沢市】県内一の酒米産地である湯沢市で、新しい酒造好適米品種の本格的な生産に向けた栽培技術の実証が進められている。
県農業試験場で育成されたのは「一穂積(いちほづみ)」と「百田(ひゃくでん)」。2016年に同市で農業試験場の現地試験が始まり、昨年からは雄勝地域振興局農林部農業振興普及課が展示圃場を設置している。今年は、市内の酒米生産農家が一穂積を5戸で約3㌶、百田を4戸で約4㌶作付けている。
県内の酒造メーカーでは、地元の米を使った新たな酒質の酒造り、他商品との差別化を図った高付加価値の酒造りを目指しているという。県の担当者は「主力品種『秋田酒こまち』や『美山錦』も使用され好評を得ているが、県内での栽培に適性があり、且つ全国的に人気が高い『山田錦』や『五百万石』などと競争ができる品種として開発導入がされた」と話す。
湯沢市酒米研究会会員の菅諭志(さとし)さん(55)は試験場の現地試験から協力し、「あきたこまち」やあきた酒こまち、美山錦を栽培しながら、実証圃として一穂積1・3㌶、百田2・4㌶を作付ける。
「これまでの酒米よりは手が掛かる。どちらの品種も倒伏しやすいので、肥料管理には気を使う」と説明。倒伏軽減剤は使用せずにケイ酸カルシウム等を散布して、稈の強い稲づくりを心掛ける。「収量は一穂積が既存品種と同程度、百田は若干落ちる感じ。県内での栽培に適していて山田錦の系統を引き継ぐ新品種には、生産現場でも酒造メーカーからも期待値は高い」と話す。
どちらの品種も順調に栽培試験が進んでいて、一般作付が開始されて市場に販売されるのは、一穂積が20年度、百田が21年度の予定。
次号をお楽しみに!