【男鹿市】男鹿市五里合の中石地区は、東北でも有数の和ナシ産地として有名だ。雪が積もる中、はさみとひもを手にし、結果枝の誘引作業に励む渡部幸栄さん(42)。地域でナシ農家の高齢化が進む中、次代を担う若手として期待され、「男鹿梨」のブランドを守るとともに、魅力ある農業を目指し日々奮闘している。
渡部さんは県内の高校を卒業後、潟上市天王にある果樹試験場で2年間の研修を受けて就農。20年以上にわたり、ナシを手掛けている。現在6カ所ある園地で「幸水」「豊水」「南水」「秋泉」の4品種をそれぞれ50㌃、合計2㌶栽培。昨年の収穫量は、10㌃当たりで幸水2トン、豊水3トン、南水2・5トンほどだった。
冬場の重要な作業となる剪定作業を2月中旬に終え、現在は結果枝の誘引作業を両親と3人で行っている。針金を網状に張った果樹棚に、枝の中ほどと先端の2カ所をひもで固定し、樹形を整える。
渡部さんは「剪定や誘引も重要な作業だが、一番気を使うのは5月に行う受粉作業。人工受粉は、開花の状態と天候を見ながら短期間で作業するため、しっかり受粉できるよう作業に気を使う」と話す。