白神山地の麓・大館市山田地区で「白神生ハム」を製造する、株式会社しらかみフーズ(夏井雅人代表取締役、58歳)。廃校となった小学校を工場として再利用し、県産の材料を使って手作業で生産する。
同社は、大館市出身の先代が地元に恩返しをしたいとの思いで、2009年に創業した「白神フーズ株式会社」を引き継いだ。08年に廃校となった旧山田小学校を利用。教室はそのままの状態で加工や熟成に必要な設備を追加し、10年に生ハム製造工場として生まれ変わった。
製法は、スペインの「ハモン・セラーノ」(山のハム)を元に、白神山地の気候風土に合わせて独自に改良した。生ハム作りは風通しが重要で、夏井代表は校舎について「教室の窓が大きく、前を遮るものがない
ので、風通しが良いことから、うってつけの場所」と説明する。同じ教室の中でも風の当たり具合が違うため、年に2~3回窓側と廊下側を入れ替え、熟成が均等に進むようにしているという。
材料は秋田県産の三元豚と天日塩だけで、発色剤や防腐剤などの添加物は一切使用していない。また、成形や血抜き、塩の擦り込み、塩抜きと生産工程は全て手作業。白神山地の麓という冷涼な環境で温度と湿度を保ち、18カ月以上じっくり熟成することで、芳醇でまろやかな味の生ハムが出来上がる。