2020年6月2週号
タマネギ 父と共に産地化けん引 - 埴生雄大さん
水稲栽培のイメージが強い大潟村で、タマネギの産地化を目指して栽培が進められている。埴生雄大(はにゅう・たかひろ)さん(30)は栽培を始めて3年目。試行錯誤しながら収穫量や品質の向上を目指す。
雄大さんは大学卒業後、県の未来農業のフロンティア育成研修で2年間、水稲の技術を学んでから就農し、今年で7年目になる。もち加工用米と酒造好適米合わせて28・6㌶や、小麦と大豆(後作)5㌶ずつ、タマネギ2・5㌶などを栽培。父の望さん(57)と従業員1人の他、状況に応じて県立大学生をアルバイトとして雇いながら作業する。
このうちタマネギは、3年前に栽培を本格的に開始。JA大潟村が主体となった、当時の「産地パワーアップ事業」の補助金で播種・収穫用の機械5台を導入し、JAや村、県立大学、農業試験場などから栽培指導を受けている。現在は大潟村たまねぎ生産組合の副組合長を務める望さんと共に、村でタマネギ栽培をする農家の中心となって活動しているという。
水稲以外の作物は、田植えや稲刈りの時期と重ならない時期に栽培する。これまで水稲・小麦・大豆・タマネギを2年間でブロックローテーションで作付けしてきたが、今年は成功例を参考に、タマネギの連作に
挑戦する予定だ。
同村は湖を干拓してできたため、排水性と砕土率が十分ではないという。昨年の収穫期は雨の日が続いて、作業に影響が出た。「収穫作業で使う機械が圃場に入れない状態が続き、1㌶弱の収穫作業を1週間以上かけて手で行った」と話す。今後は、土壌改良のため緑肥を活用する予定だという。
雄大さん方では、昨年から収入保険に加入している。「過去に村でも風害や塩害などの被害を受けた。何が起こるか分からないため、特に野菜を栽培している人は加入した方が良い」と雄大さん。望さんは、「かつて大潟村はNOSAIの事業に加入することはできなかったが、経営全体が補償される収入保険に加入できて安堵している」と話す。
同村産業建設課産業振興班の松橋耕平さんは「雄大さんは熱心で、分からないことは人に聞いて勉強している。若い年代を引っ張るリーダー的存在だ」と説明する。
雄大さんは「今後は排水性の改善や砕土率の向上についてもっと勉強し、作業効率を良くしたい。収穫量と品質どちらも向上させることが目標」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!