2020年7月3週号
ネギを経営の柱に - 丹教夫さん
水稲4.7㌶とネギ1.3㌶、エダマメ1.8㌶、アスパラガス18㌃の複合経営に取り組む羽後町の丹教夫さん(46)。中でもネギは新品種を含めた5品種を栽培している。
本格的な就農から4年目のシーズンを迎え、特にネギ栽培について強い探求心を持つ丹さん。今年は夏取りから秋取りまで、それぞれの収穫時期に合ったネギを手掛けている。
また、JAこまちのネギ部会から委託を受け、新品種を試験栽培している。昨年栽培した「大河の轟き」は、今年から部会で本格的に採用され、現在は「太陽の祝い」を試験栽培中だ。
ネギは品種による単価の違いがほぼ無い。価格は出荷時の相場で決まるが、時間がたつと水分量や丈の長さに違いが出る。大河の轟きは調製作業で葉を切るときに出る水分(トロミ=ヌル)が少ない。調製や出荷のスピードが上がり、出荷後の傷みが少ないという。
試験を委託するJAのネギ担当者は、「丹さんは非常に熱心で真面目な若手農家の一人で、ネギに強い情熱を持つ。部会の行事に積極的に協力してくれることもあり、毎年試験栽培をお願いしている」と話す。
丹さんは湯沢市出身で、以前は市内の酒蔵に勤めながら農業をしていた。実家は小規模農家だが、近くに農業法人や大規模農家が多くいたという。機械が好きなこともあり、勤めの空き時間に、農家の依頼を受けてトラクターのオペレーターなどをしながら、約8年間農業に触れた。「手伝いをしていた時、隣の圃場でネギ栽培をする風景を見て自分もネギで営農したいと思った」と振り返る。
その後、羽後町で妻の実家の農地や遊休農地を借り、5年ほど兼業農家として働いた。ネギ7㌃から始めたが、農地の受託が年々増えたため受け皿になろうと決心し、専業農家になったという。
現在、常勤で3人を雇用し、繁忙期はアルバイトにも依頼する。丹さんは「水稲だけの経営では、規模拡大や特別な栽培方法をしないと厳しい。ある程度の面積で、収益性なども考えながら現在の4品目を選定した」と話す。
来年の法人化を視野に入れて準備を進めているという。「ネギはもう少し規模を増やしたい。選別不要でコンテナ出荷ができる業務用のネギも導入できないか考えている」と前を見据える。
次号をお楽しみに!