ブドウ「シャインマスカット」15㌃や「クイーンニーナ」5㌃のほか、地域特性を試すために「巨峰」などブドウ7品種を数本ずつ栽培する、にかほ市仁賀保地区の横山雄祐さん(35)。昨年、待望の収穫前にハクビシンと思われる食害が発生したが、電気柵を設置し、軽微な被害にとどめた。
横山さんがブドウ栽培を始めたのは5年前。樹勢が落ち着いてくる3年目までは、収穫よりも木の生育に重点を置いていたが、本格的な収穫を迎える4年目の去年に食害が発生した。「果実が大きくなり糖度が上が
ってきたタイミングで、房の上の方が1、2粒かじられていた」と振り返る。
カメラなどを設置したが、動物は特定できなかったという。深夜にセンサーが反応することや、ハクビシンが地域の畑や家の屋根裏に入り込むなどの被害が多発していること、袋を破いて食べていることなどから、ハクビシンと推定した。
「最初は、幹や雨よけハウスのパイプを登っていると予想し、滑りやすいプラスチックを巻いて、ネズミ返しや檻おりを設置した」と横山さん。しかし効果がなく、園地の周りに電気柵を設置した。導入した装置は、電源にカーバッテリーを使用し、光センサーにより夜間だけタイマーで作動。1万ボルトの電圧が流れ、強い刺激で“バチッ”と音がする。ハクビシンは電線に触れることで痛みを学習し、近づかなくなるという。
地面から10㌢間隔で、電線を4段設置。侵入を防ぐため、電気柵の上にネットを張る。摘粒が終わって房に袋掛けをしたタイミングで取り付ける。それ以前は、ブドウに甘味が乗っていないので食べに来ないと
いう。除草作業などの邪魔にならないよう、収獲後は撤去する。
指導した由利地域振興局農業振興普及課の佐藤智則副主幹は「高低がある場所では、地面からの電線の高さを変えずに隙間をつくらないことが重要」と話す。また、電気柵は草などが触れると漏電するので、「設
置前に草刈りや除草剤散布をし、設置後も伸びて電線に掛かることがないように管理が必要」という。
横山さんは「ブドウ栽培は手間がかかるが、その分収穫の喜びもひとしお。ハクビシンの対策は、なるべくコストをかけない方法を考えたが、それなりのコストと手間をかけても電気柵の効果が高いと実感した」と話す。