2020年9月1週号 ネット販売で勝機を②
自家産ブドウのワイン 直売率上げ収益増へ - 豊島昂生さん
由利本荘市矢島町の豊島昂こう生せいさん(30)は、栽培した醸造用ブドウでワインを委託醸造し、ネットや県内の取扱店舗で販売している。
豊島さんは大学卒業後、大阪で就職したが、2016年に実家に戻り就農。好きな作物にしようとブドウの栽培を決め、6次産業化の可能性を見越して醸造用品種を栽植した。現在は、1㌶で「シャルドネ」「ピノ・ノワール」など6品種を垣根仕立てで栽培している。
昨年、ブドウ約3㌧からワイン2700本が完成。白ワイン「白しろはやて颯」、スパークリングワイン「彩り」のほか、ブドウジュース2種類を販売する。最近は店舗での販売が徐々に増えてきたが、当初は販路が無く、ネット販売で始めた。「直売の比率を上げたいというのがネット販売にした大きな理由」と話す。流通量は多くないが、県内だけでなく全国各地から注文が入るという。
ネット販売の大きなメリットは、「表示価格で販売ができること」と豊島さん。販売店へ納品する場合は卸価格での取引になるが、ネット販売の場合は表示価格での取引となるので利益が大きいという。
1回の注文で複数の宛先への配送を指定されたり、贈答用のラッピングを依頼されたりするなどさまざまな要望もあるが、その都度電話やメールで連絡を取って対応している。「直接顔が見えない分、そういうコミュニケーションの取り方が難しいと感じることがネックかな」と話す。
今年は天候が悪く、雨が多いので、ブドウに病害がちらほら見え始めている。7~8㌧の収穫を見込み、ワインを約6千本製造する計画だったが、これからの天候次第で心配だという。
昨年は白ワインだけだが、赤ワインを依頼できるワイナリーを見つけたため、今後は赤ワインの製造も委託する予定だ。「ネット販売は直売率を上げる意味でも、なくてはならないツール。販売店舗が少なく、大都市圏での販売ルートを持たなくても、全国各地から問い合わせが来るのはうれしい」と豊島さん。「地元にワイナリーを建て、5年後には自家醸造にこぎ着けたい」と意気込む。
▽URL=https://toyoshimafarm.com
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