秋田市添川でハウス3棟と露地60㌃の野菜作を手掛ける柴田秀俊さん(38)。冬期間は積雪を利用した雪下栽培にも力を入れ、新鮮な野菜を消費者に毎日提供している。
夏場のトマトを中心に、周年で安定収入を図る柴田さん。冬期間はハウスでホウレンソウやコマツナを作付けるほか、露地の雪下でハクサイやニンジンを栽培している。
雪下は常に低温なため、新鮮さが保たれ、土の中の作物は凍ることがない。「雪が解けると掘り起こさなければいけないが、作物上に雪が積もっていれば手入れする必要がない」と柴田さん。糖度が高くなるため、通常より甘いという。
以前はスコップで雪を寄せることもあったが、作物が傷ついた経験から、全て手で掘り起こしている。「労力がすごくかかるので、1日ごとに、ハクサイとニンジンを交互に掘り起こす。余らないように1日20個ほどを目安に出している」と話す。
柴田さんは高校卒業後、洋菓子職人として働いていたが、秋田市園芸振興セン
ターで2年間の研修を経て2018年に就農。周りで雪下栽培に取り組む農家は少ないが、農業試験場のデータや県内で実践している農家のアドバイスを基に挑戦したという。
収穫した野菜は、スーパーの直売コーナーや飲食店などに毎日運び、「新鮮でおいしい」と評判だ。一方で、「昨年は届け先の飲食店が新型コロナウイルスの影響を受け、提供する量が減った。その分を直売コーナーに回すなどの対応はできたが、今後のことを考えて収入保険への加入を検討中」としている。
柴田さんが野菜を出荷している同市のスーパーの店長は、「野菜を毎日出品し、調理方法を書いた紙を添えている場合がある。新鮮な野菜が好評で、柴田さんの商品を目当てに訪れる人もいる」と話す。
柴田さんは「規模拡大を常に目標としていて、いずれハウスを増やしたいと考えている。便利で大きな機械を持っていないため、地道な作業が多いが、今後も手が回る範囲で周年出荷して収入を安定させたい」と意気込む。