にかほ市大竹地区で水稲75㌃を作付けながら、イチジクを露地84㌃で10㌃当たり約600㌔、年間で5㌧ほど収穫する須藤秀昭さん(58)。イチジク収穫後、出荷販売に向かない果実の活用方法として「ドライいちじく」に取り組み、2年前に本格的に販売を始めた。
ドライいちじくは、一般的なドライフルーツの硬い食感とは異なり、しっとりとしている。無添加で砂糖不使用。濃縮された甘酸っぱさが味わえる。しっとり感を生かすため、乾燥剤を使用せず、脱酸素剤で保存性を高めている。
そのまま食べても良し、ヨーグルトに入れて柔らかくすると食感が楽しめる。クリームチーズと一緒に食べると、イチジクの甘さとチーズの塩気がよく合い、酒のつまみにも最適という。
須藤さんは「見た目を考え、実を縦に4~6等分し、どれを見ても皮の緑と実の赤が見えるようにした。硬めの実を使うとパサパサになってしまうし、柔らかい実を使うと乾燥途中で糖分が焦げてしまう。ドライいちじくに向いた材料の程度、熟し具合を特定するのが大変だった」と話す。
作り方はシンプル。収穫したらすぐに洗浄、加工の作業を行い、食品乾燥機で乾燥させる。6~8㌔のイチジクで商品にできるのは25袋(1袋50㌘)ほどだ。
同地区のイチジクは、80年ほど前から栽培され、「北限のイチジク」といわれている。須藤さんは基本的に硬めの果実を加工用として、完熟果を生食用としてJA出荷と直売を行う。選別時に発生する加工や生食の基準に達しない果実の活用方法を模索し、約4年かけて商品を完成させた。
「昨年は460袋を製造して12月には完売した。今年は700袋を予定していたが、夏場の高温の影響で収穫時期が若干短くなり、できたのは600袋余り。洗浄から袋詰めまで全部手作業で行っている。手間や販売を考えるとちょうどいい」と須藤さん。今後の抱負として「菓子製造業の許可取得や設備などいろいろと必要になるが、いずれは自家製の甘露煮を手掛けたい」と話す。