横手市大雄の小松田光二さん(74)は、妻の敦子さん(70)と共に約1・3㌶で飼料用米を栽培。安定多収を追求して工夫を凝らす。水田活用の直接支払交付金で収量に応じて交付される戦略作物助成金は、作付け1年目から上限額を確保し続けている。
小松田さんは2017年から主食用米に加え、飼料用米の栽培を開始。「主食用米よりも収益が高いという話を聞いて興味を持った。国や県からの助成があり、安定した収入が見込めると思った」と取り組んだきっかけを話す。
21年は多収米品種「べこあおば」を初めて作付け。20年は「秋田63号」を作付けたが、肥料を与え過ぎて収穫前に倒伏したため、短稈で耐倒伏性が強いべこあおばを選択した。
土作りでは、春の耕起前にケイ酸を含んだ土作り肥料「シリカリン28号」を10㌃当たり20㌔施用。田植えの時には一発肥料「基肥まくモン」を10㌃当たり45㌔まく。
さらに疎植栽培を行い、慣行栽培で1坪当たり60株のところを50株移植。10㌃当たりの必要育苗箱数が23枚から18枚になったという。育苗資材費は、集落の農業者6人で育苗センターを運営することで抑制。田植機やコンバインなどの農業機械を共同利用して、導入や整備の費用削減を図っている。
播種から田植え、収穫まで、主食用米から飼料用米の順に作業することで、混入防止に努める小松田さん。「作業では特に水管理に気を使っている」と説明する。土壌表面が露出しないよう注意し、小まめな水管理を心掛けているという。
工夫を凝らした栽培で、21年産は10㌃当たり収量973㌔を達成。「飼料用米多収日本一コンテスト」単位収量の部で農林水産大臣賞に輝いた。「一番上の賞を目指して栽培してきた。目標を達成できて良かった」と笑顔を見せる。
同郷の市農林部の藤山篤志次長兼農業振興課長は「小松田さんは日頃から地域との連携を大事にしていて、農業者同士で情報交換をするなど研究熱心。このような姿勢が結果につながり、うれしく思う」と話す。
「本年産も順調にいけば10㌃当たり800㌔以上は見込める」と小松田さん。「今後は10㌃当たり収量1㌧を目指して栽培を続けていきたい」と意気込む。