2022年12月1週号
てんこ小豆を後世に - 横手市生活研究グループ協議会
秋田の赤飯には欠かせない黒ササゲ「てんこ小豆」。長年親しまれてきたが、生産量は減少している。後世に残すため、農村女性組織の横手市生活研究グループ協議会(柿崎克子会長=69歳、会員69人)が、会員の畑で試験栽培を実施。新たな活用方法を模索中だ。
「てんこ小豆の赤飯は、地域の祭りや彼岸の時に食べられてきた。豆の色の濃さと、煮炊きしても崩れない皮の厚さが特徴で、食べ応えを楽しむことができる」と柿崎会長。食生活の変化に加え、収穫から選別まで手間がかかることから生産量が減少。伝統的な食材の継承を目指す秋田てんこ小豆伝承プロジェクト(小原暢代表=44歳)の目的に賛同し、試験栽培に協力している。
会員に30粒ずつ種を配り、6月初めに播種。8月中旬から10月にかけて収穫する。よく乾燥させてから、さやを束にして持ち、ねじって脱粒を行う。さやの破片や害虫の食害痕などの小豆を丁寧に取り除き、実の詰まった粒を選ぶ。冷暗所での長期保存が可能だ。
会員の一人、柴田由美子さん(68)は「普通の小豆よりも草丈が高いのでかがまずに収穫できる。長雨の影響で実にならないものもあったが、生育はおおむね順調で大きい粒が取れた」と話す。今年は会員1人当たり1㌔ほどを収穫できたという。
「生産量の減少には地域行事の簡略化で、料理を作って持ち寄る機会が減っていることも関係している」と柿崎会長。郷土食の伝承とともに新たな食べ方を検討し、普及につなげようとしている。
これまでパウンドケーキや寒天など数種類を試作。「プロジェクトには高校生や大学生も参加している。若い発想を楽しみに、引き続き開発を進めたい」と気持ちを高める。今後、協議会でレシピを持ち寄り、プロジェクトメンバーに提案していく予定だ。
プロジェクトの小原代表は「ベテラン農家である皆さんのサポートがとても心強い。工夫と努力でてんこ小豆を残すため、今後も力を貸してほしい」と信頼を寄せる。
柿崎会長は「てんこ小豆の料理を気軽に作って、伝統的な食材を食べ続けてほしい。皆さんと交流を深めながら、今の時代に合った形で、食文化の継承と広がりに貢献したい」と張り切る。
次号をお楽しみに!