藤里町営大野岱放牧場がこのほど牧場開きを行った。同放牧場の広さは約80㌶。天候と牧草の状況によるが、放牧期間は11月20日までとしている。
黒毛和牛17頭を飼養する同町矢坂地区の市川秀人さん(59)は、親牛と子牛合わせて11頭を放牧。市川さんや7戸の畜産農家は、夏は山地に放ち、冬は舎飼いする「夏山冬里方式」を取り入れている。
市川さんは「放牧は作業の省力化や牛の健康づくりにつながり、繁殖面で放牧場管理者から細やかな対応が受けられる」と利点を話す。
同町職員で家畜人工授精師の高橋薫さんは「発情徴候は歩行数の増加や群れと異なる行動に表れるため、自然の中の方が明確に分かる。毎日の巡回で見逃さないよう気を付けている」と話す。
家畜共済に加入する市川さんは早期受診を心がけ、病状の重篤化を防いでいる。また、分娩事故防止のため親牛の産歴と体格に合う種の選択に注意を払い、経営の安定につなげる。
「丁寧な飼養管理を意識しているので子牛を出荷する際は喜びの半面、寂しさを感じるが、これからも良い牛を育てていきたい」と前向きだ。