あきた版10月3週号
特産ナシ霜害から復旧へ スプリンクラーを棚上に設置 - 佐藤 功さん
「今年のナシは小ぶりだが、甘くておいしい」と話す潟上市昭和の佐藤功さん(54)。ナシ農園を営み「幸水」50㌃や「豊水」53㌃、「あきづき」10㌃を手がける。4月に霜害を受けたが、来年に向けけて対策し、前向きに栽培管理を続けている。
両親が果樹農家で、子供の頃から園地に出入りし、繁忙期の手伝いをしていた佐藤さん。以前はIT関係の仕事をしていたが、高齢の両親に代わり2013年に就農し、翌年から本格的に携わっている。
5年ほど、両親と一緒に作業をしながら管理方法を習得。現在は剪定などの専門的な作業は佐藤さんが行い、草刈りや収穫などは妻と協力して行っている。
佐藤さんは「園地の管理は教科書通りではない」と話す。隣り合う園地でも施肥方法などは全く違う。市販の土や肥料を使っているが、時期や量を少し変えただけで食味に影響するという。前職で培った技術を生かして、就農した年からの作業データを分析。開花予想のほか、肥料や薬剤散布の適切な時期を計算して作業に反映させている。
「基本的な作業は父の代から変えていないが、作業労力の省力化に取り組んでいる。剪定には電動はさみ、授粉には人工交配機を導入した。視察研修にも積極的
に参加して、良いと思ったことを取り入れている」と工夫を話す。
収穫が一段落する12月からは剪定に取りかかる。「園地の癖に合うように電動はさみを入れる。次年の実りを左右する一番気を使う作業だ」と佐藤さん。丁寧な管理をする中で、天候の影響などを受けて苦労した経験を持つ。
昨冬は、父親の代から使っていた果樹棚のワイヤが、積雪で広範囲にわたって切れ落ちた。修復に時間がかかり、200㍍の果樹棚を1カ月かけて張り替えるのと同時に、誘引などを実施。
今年は、4月の授粉後に霜害を受けて花芽が枯れた。さらに、8月の猛暑による高温で果実が早熟し、出荷後に腐ってしまった果実もあり、例年の3割ほどの収穫量となったという。
霜害を機に、県と市の助成を受けてスプリンクラーを導入。棚上に設置し、散水氷結法で霜の影響を少しでも緩和できるよう来年に向けて準備している。
「毎年の収穫時期が楽しみ。冬から手をかけて育てたナシを買った人が『おいしい』と言ってくれる。その一言がうれしい」と佐藤さん。ナシ栽培は今では生活の一部となり、気が付けば園地に足を運んでいるという。メリハリを付けるため、時間に区切りを付けて作業し、余裕を持った作業を心がけている。
佐藤さんは今後、園地を少しずつ縮小する予定で「今ある樹を生かし、目の届く範囲を細々とでも長く丁寧に手をかけていく。毎年変わらないおいしいナシを、これからも作り続けたい」と目標を定める。
次号をお楽しみに!