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あきた版11月3週号
ハウスでシイタケとホウレンソウ 若い人へ魅力発信 - 熊切達也さん

 株式会社SEEDsの熊切達也代表取締役(37)は2018年、結婚を機に妻の実家がある横手市平鹿町へ移住。シイタケやホウレンソウなどを栽培し、品質向上を図り、若手農業者に興味を持ってもらえるような経営を目指す。
 移住した当初は、義父のシイタケ栽培を手伝いながら技術を習得した熊切代表。静岡県に生まれ育ち「秋田に来てマニュアルの軽トラックを初めて運転した」と話す。これまで農業に興味はなく経験もなかったが、さまざまな職種を経験したことを農業に生かせると思い、就農を決意した。「就農当時は、夢に出てくるほどシイタケについて考え、夜中に目が覚めてハウス内を確認していた」と笑顔で話す。
 20年4月に同社を設立。現在は従業員14人を雇用している。ハウス4棟でシイタケ約4万菌床と、ハウス35棟でホウレンソウを栽培する。今年からハウス7棟でアスパラガスや、露地20㌃でサツマイモも始め、さらなる規模拡大を目指す。
 全国の栽培情報を取り入れ、常に頭の中をアップデートすることで経験不足を補う。良品質に作れば自然と収量も増えると考え、徹底した温度管理とハウス内の明るさに細心の注意を払う。
 集荷や選果を行うJA全農あきた県南園芸センターの作業の簡素化を目的に、シイタケの
サイズを確認するため、自作した発泡スチロールのゲージを収穫時に使用。従業員全員で基準を統一し、収穫するよう工夫している。
 JA秋田ふるさとできのこ部会を担当する鈴木琢磨さんは「熊切さんは、とても勉強熱心な方。品質を追求し、部会内でも上位の成績を収めている。地域のリーダーになっていく存在だ」と評価する。

 今年の夏は高温が続いたが、シイタケは空調設備が整っているため、影響はなかった。しかし、ホウレンソウは猛暑の影響で、例年より減収。来年からアスパラの収穫が始まり、収入の確保に努める計画だ。
 今後は、既存の加工所で同市の若手農家3人で新たな会社を設立する予定。熊切代表は「地域活性化のため、先頭になって10代、20代の若者を農業へ引き込めるよう魅力を発信していきたい」と力強く話す。
次号をお楽しみに!