東北版3月2週号
秋田米のうまさ 郷土食で広める - 石川次夫さん
五城目町東磯ノ目で郷土料理いしかわを28年営む石川次夫さん(67)。秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」に入れる「きりたんぽ」を3分の1の長さにした「ミニっ子たんぽ」を製造・販売している。商品を通して、秋田の米のおいしさを全国に広めようと力を尽くす。
いしかわでは当初、通常のきりたんぽや、すりつぶした米を丸めた「だまこもち」を製造・販売していた。ミニっ子たんぽの開発は2006年ごろ。山形県で立ち寄ったソバ店で、きりたんぽが煮崩れしたエピソードを聞き、煮崩れしないきりたんぽを作れないかと思い立ったことがきっかけだという。
ミニっ子たんぽは、通常のきりたんぽと作り方は同じ。米を炊いてつぶし、整形して焼く。1個の大きさは5㌢ほどで、切り口を焼き付けることで煮崩れしない。
鍋で煮込むと、内側からだしをたっぷり吸い、小籠包のように口の中にスープが広がる。このひと工夫がきっかけとなり、18年6月に商標登録された。
原材料の米は、同町や近隣の市町村の生産者から直接仕入れている。石川さんは「炊いた米の練りつぶしを最小限にし、粒を残すことで米自体のうまみや甘みを感じることができる。秋田産米のおいしさを知ってもらうきっかけになれば」と話す。
地元スーパーのダイサンクレタ乱橋店・千葉歩店長は「石川さんとは20年以上の付き
合いになる。前向きで研究熱心だ。ミニっ子たんぽを紹介され、独自の発想に魅力を感じた。リピーターも多く、贈答用としても人気。県内外のお客さまにご愛顧いただいている」と話す。
息子の大作さん(42)と二人三脚で経営に励む石川さん。「1日の製造は千本ほど。多くは作れないが、おいしいと言ってもらえる商品を作り続けたい」と張り切る。
次号をお楽しみに!