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あきた版6月3週号
鳥獣害が追い打ちに - 宮原春信さん
 秋田市太平で「宮原果樹園」を営む宮原春信さん(67)。リンゴを主力に「ふじ」や「秋田紅あかり」などを約40品種160㌃、「幸水」などナシを3品種20㌃、「藤稔」や「シャインマスカット」などブドウ約10品種20㌃を手がける。昨年の気象災害と鳥獣害で、保険金を請求した。
 宮原さんは収入保険に2021年加入。以前はリンゴを果樹共済に加入していた。「収穫販売する作物全ての販売収入が補償範囲で、最大9割の補てんに魅力を感じ、加入を決めた」と話す。
 全国的な異常気象で農作物への被害が出た昨年、同園では春先から影響が出始めた。4~5月の長雨で肥効が大きく現れ、通常10~20㌢成長する枝が2倍の40㌢ほどまで伸びた。その影響で、花芽に栄養が行き届いていないことが懸念された。
 加えて高温少雨が続き、リンゴの色付きに必要不可欠な夜温が下がる日がなかった。皮で生成されるアントシアニンの量が少なく、着色障害が発生。収穫した果実は柔らかく、酸味の少ないものがほとんどだった。
 追い打ちをかけたのが、クマやヒヨドリ、ハクビシンなどの鳥獣害だ。園地周辺ではクマ28頭が捕獲された。「8月にはナシ、9月にはリンゴが食害を受けた。枝を折られた木があり、手を尽くしたが収量に影響が出てしまった」と悔しさをにじませる。
 昨年の状況を考慮し、今年は通常春先に1回行う施肥を、2回に分ける追肥型に変更。チッ素量を半分に抑え、枝葉の成長を抑制し、小玉で色付きの良い果実がなるよう調整する。
 宮原さんは「収入保険に加入して本当に良かった。販売する品目が補償対象でありがたい」と話す。被災年の収入が8割まで上方修正される「気象災害特例」にも期待を寄せる。
 同園の果物は、栄養豊富な雪解け水と激しい寒暖差で育つため、味が凝縮し甘みが強いと評判だという。「収入保険の力を借りながら、災害に負けず安定した経営を目指したい」と前向きに話す。
次号をお楽しみに!