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あきた版9月3週号
AI導入しスマート農業 収量安定を目指す - 進藤智貴さん

 秋田市金足下刈で、AI(人工知能)を利用したスマート農業を実践する進藤智貴さん(49)。80坪のハウス3棟で、四季成り性イチゴ「秋田夏響」とアールスメロンを収穫時期が重ならないよう栽培し、年間を通して安定した収量を目指している。
 進藤さんは大学在学中に、インターネット関連の会社を起業。山形県内に事務所を設け20年ほどたったころに経営を譲った。当時は果樹や花き農家と関わる機会が多く「今は農業にコンピューターを取り入れ始めている」と聞き、次第に興味を引かれた。その後、コロナ禍を機に就農のため帰郷した。
 2021年から「秋田市園芸振興センター」で2年間の研修を受講。昨年7月からアールスメロンの栽培をスタートした。主枝を立たせて縦に伸ばす「立体栽培」やプランターを利用し土壌から根を切り離す「隔離栽培」を併用。水管理がしやすく、実割れしにくいのが利点だ。加えてプランター栽培で、根の必要以上の成長を抑制することが適度なストレスになり、果実の甘みが増すという。

 現在導入しているAIで、二酸化炭素濃度や日射量、土壌水分量を管理する。主枝ごとに設置したセンサーが情報を集め、東京都内のサーバーへデータを送信し計算。その日の天候に合わせ、1秒単位で灌水などを行う。「全自動なので、人手が必要な作業は基本的にハウス内の温度管理と収穫だ。人件費などのコストカットにもつながる」と進藤さん。
 金足下刈集落の先輩農業者、菊地公明さん(69)は「進藤さんは、積極的に地域と関わってくれて頼もしい。AIを使用した今後の営農活動に期待している」と話す。
 進藤さんは「STARSEEDFARM(スターシードファーム)」と名前を付け、SNS(交流サイト)を活用して情報を発信。口コミで味の評判が広まり、購入する人が徐々に増えている。
 25年の夏ごろには、潟上市に空き家と畑1㌶を借り、自家産作物などの直売と、育てた作物をったジェラートなどを販売する予定。「冬季にも作物を収穫できることが強みだ。農業従事者が減少する中、AIの利便性を広め、農業の面白さを次世代に伝えていきたい」と力強く話す。
次号をお楽しみに!