2020年7月2週号
搾乳ロボや自動換気システム備えた牛舎を建設 - (農)鳥海高原花立牧場
由利本荘市矢島町の農事組合法人鳥海高原花立牧場(佐藤俊弥代表理事=39歳、従業員5人、アルバイト1人)が、搾乳ロボットや自動換気システムを備えた最先端ロボット牛舎を建設した。総事業費約8億円という大規模の建設となり、人間の労力を大幅に削減した酪農経営を行っている。
「きっかけは、5年ほど前に日本酪農青年研究連盟の研究会で、兵庫県立播磨農業高校の発表を目にしたこと」と佐藤代表。実習で搾乳ロボットが導入されていて、古いシステムで作業する自分たちとの違いに衝撃を受けた。これからの酪農はロボットだと確信して導入を決め、4月に稼働を開始した。
建設した牛舎はフル断熱で、コンピューター制御により14度を境にカーテンと天窓の開閉、ファンの回転などを自動調整する換気システムを導入。「高原に立地しているが、断熱効果が高く冬も5度を下回らない」と話す。この自動換気システムを備えた施設は、本州最大規模という。
この牛舎では、ジャージー種約30頭とホルスタイン種約40頭を飼養。古い牛舎は子牛や育成牛、老齢牛など約100頭の飼養で活用しているという。
新牛舎での搾乳は、24時間稼働するロボットが行う。牛が自らロボットの前に立ち、センサーが乳房を探して洗浄や消毒、搾乳などを自動で行う。その際、生乳の成分を分析することで乳房炎などの病気が分かり、異常があるものは廃棄用のタンクへ、正常なものだけ出荷用のタンクへ送られる。「牛は乳がたまったタイミングで搾られに来るためストレスが減り、人間が搾るときに比べて乳量が1割ほど増えた」と説明する。
さらに、牛の首にタグを取り付け、1頭ごとに食事量や体温、発情の有無を管理。搾乳中は体重や体形などのボディコンディションスコアも測定する。
佐藤代表は「ロボットの導入で、酪農のイメージはガラッと変わる。過酷なイメージが無くなり、魅力的な職場になる」と話す。肥出しなどの肉体労働や、スキルが必要な搾乳作業をロボットが自動で行うため、人間の作業はロボットとデータの管理や牛のベッドの管理、分ぶん娩べんの介助くらいに減ったという。
今年中にホルスタイン種を50頭追加する予定だという同法人。「今は生乳の販売や、雄牛と交雑種の出荷などで売り上げが2億5千万円くらい。4、5年後には牛舎の増築とロボット4台ほどの増加で500頭規模の経営をし、売り上げ10億円を目指す」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!