2019年2月3週号
閉校舎利用し植物工場 - スクールファーム河辺
【秋田市】閉校舎を利活用して設立された、秋田市河辺の就労支援事業所「株式会社スクールファーム河辺」。農業と福祉を連携させた「農福連携」を事業のテーマに掲げ、施設内に植物工場を設置して野菜を栽培するなど、かつての学び舎だった校舎に新たな息吹をもたらしている。
事業所は、一般企業での就労が難しい障がい者の就労機会を提供する場として2013年に設立。従業員10人と就労者20人で作業している。
建物は同地区で閉校していた旧赤平小学校の校舎を利活用した。施設内には3色LED光源による完全屋内閉鎖型工場「LEDきらめき菜園」を設置。72平方㍍に機械13台を導入し、現在はイタリアンパセリやバジル、セルフィーユなどのハーブとエディブルフラワー(食用花)を栽培する。
従業員の指導のもと、就労者は種まきから収穫、袋詰めまでの作業をサイクルで行う。収穫した野菜や花は県内のホテルや飲食店に出荷する他、東京からの注文にも対応している。
曽我祐一代表取締役(53)は、「最初は米の栽培を考えたが、米余りが続いている現状から野菜の栽培に変更した。ビニールハウスでの水耕栽培を検討していた時に市から廃校利用の話があったため、校舎に植物工場を設置して栽培をスタートした」と話す。
LEDを使った屋内栽培は、気温や湿度を細かくコントロールでき、無農薬で栄養価の高い野菜を栽培できる。また、雪が多い秋田でも年間を通じて安定栽培ができるなどの利点がある。
今後は屋内栽培に加え、地域の耕作放棄地を利用したダリアの栽培やエディブルフラワーの規模拡大を計画している。また、収穫した花をドライフラワーに加工して出荷する「花の6次産業化」への取り組みも考えているという。
「これからも栽培の作業を通じて、障がい者の就労を支援していきたい」と曽我代表。「後継者不足が懸念されている農業の現場で、自動運転などを取り入れたスマート農業が今後加速していけば、障がい者でも活躍できる場が増えるはず」と期待を込める。
▽秋田市河辺赤平字小曽根80番地(℡018・882・5128)URL=http//www.sf-kawabe.com
次号をお楽しみに!