2019年10月3週号 大館市の農家たち②
中山なし栽培のベテラン - 石垣賢一さん
【大館市】「今年のナシは雨が少なく全体的に小玉傾向だが、甘くておいしいものができた」と話す、大館市中山の石垣賢一さん(72)。果樹栽培暦45年のベテランで、ナシ1㌶、リンゴ60㌃、トルコギキョウ3×10間のハウス2棟を手掛ける。
中山地区で栽培するナシは「中山なし」と呼ばれる。出荷時期が国内で最も遅いことから「北限のなし」と言われることもあり、その始まりは明治時代からだという。
県内のナシの産地は沿岸部が多いが、内陸部では唯一、同地区で栽培が行なわれている。大館市の東側に位置し、米代川沿いの河岸段丘で、黒ボク土壌の畑に向いた地形だ。地区全体の栽培面積はリンゴ20㌶、ナシ30㌶で、戸数は40戸ほど。個人防除を行う他、果樹組合を組織してスピードスプレイヤー4台を所有し、共同防除も行なう。
多くはJAあきた北を通じて市場へ出荷するが、鹿角市へ向かう国道103号線沿いに直売所が7軒ほどあり、店頭販売されている。
「全ての収穫時期が重ならないよう、早晩性の異なる品種を栽培している」と石垣さん。早生種である幸水が70%を占め、その他、中生種・晩生種の豊水、あきづき、秋泉を手掛ける。
毎年10月に開催される大館圏域産業祭で農林産物共進会が行なわれ、石垣さんはその受賞者の常連。受賞の秘訣について「色味・形を吟味し、玉の大きなあきづきを出展している」と話す。
「今年は5月に降ひょうがあったため、摘果作業で苦労した」と石垣さん。また、近年はクマの出現が後を絶たず、「電気柵で対応はしているが、昔より来ることが増えた」と苦悩を見せる。
良質なナシを栽培するために必要なこととして、6割が剪定だという。「木の作りも重要だし、枝も世代交代しないと良い果実を作り続けていけないため、どの枝を選んでいくかがポイント」と説明する。
「体に気を付けて、今ある木を大事に果樹栽培を続けていきたい」と話す。
次号をお楽しみに!