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2020年3月3週号
苦労の多い大玉晩生ナシ 創意工夫で乗り切る - 石川玉夫さん、フキ子さん
 【潟上市】潟上市で3品種のナシ約1・3㌶を栽培する石川玉夫さん(69)、フキ子さん(69)夫妻。特に、大玉の「あきづき」に苦労しながらも栽培を続け、一昨年から二年連続で、県種苗交換会の県知事賞ならびに一等賞を受賞している。

 石川さん夫妻は、以前から栽培していた幸水と豊水に加えて、約15年前から晩生ナシ「あきづき」の栽培を開始した。授粉作業などの繁忙期は家族の協力を得ながら作業し、JAと一部を道の駅に出荷する。
 あきづきは1玉500㌘ほどにもなる大きな品種で甘みも強い。しかし枝を下に誘引して角度を斜め45度にしないと花芽がつかないなど、育てるのに手間が掛かるのが難点だ。玉夫さんは、「交配させなくても実がなってしまうので摘果が大変だったが、今では花芽が開く前に指で叩いて落とすなど工夫している」と話す。
 晩生のため収穫期に台風が直撃することもあり、実が大きくて落果しやすいのも悩みだという。「幸水と違って果柄が硬くて短いのも落ちやすい理由のひとつ」と玉夫さん。「特に花芽が枝の真上についた場合は、枝と擦れて果実に傷がつくので、横の花芽だけを残すようにしている」と苦労する。放っておくとどんどん果実が大きくなってしまい、規格外で出荷できなくなることもある。
 あきづきの導入を考えている人に向けて、「栽培一年目は、幸水の園地の隙間に40本植えるところから始め、徐々に幸水と交換してあきづきの園地を作った。収穫できるかが不安定な品種なので、一気に増やすのはやめた方がいい」とアドバイスを送る。現在の樹齢が、たわわに実ってちょうど良いという。

 今でこそあきづきの知名度が上がってきたが、販売当初は売り込みに苦労した。フキ子さんは「果樹部会の奥さん達でスーパーに出向いて試食販売会をしたとき、手に取ってくれる人が少なかったが、試食したら皆さんおいしいと言ってくれてうれしかった」と振り返る。
 「大変な作業だが孫の『おいしい』という言葉が聞きたくて続けている。食味について厳しい意見を言われる年もあるが、自分たちのことを思って正直に言ってくれているのでありがたい」と話す。
次号をお楽しみに!