2018年2月4週号
豪雪を生かした「雪の下にんじん」栽培 - 農事組合法人豊前
【横手市】積雪量の多さを生かし、越冬野菜「雪の下にんじん」を手掛ける横手市平鹿町浅舞の農事組合法人豊前(柴田隆代表、構成員14戸)。一昨年からは市の食育事業「冬野菜を食べる会」へ給食の食材としてニンジンを提供し、保育園児の食育へ貢献している。
同法人では4戸が中心となり、品種「らいむ」を1㌶で栽培。8月中に3回に分けて播種、直後に除草剤を散布するのみで以降は手作業で除草を行い、散布軽減を図る。1月上旬から3月中旬にかけて収穫期を迎える。積もった雪をバックホーでかき寄せ、土中のニンジンは移植ベラで丁寧に掘り出す。
構成員の佐藤仁さん(62)は「機械操作や掘り出し、洗浄などそれぞれが自分の役割をこなしているから運営できている。真冬の厳しい気候での作業だが、和気あいあいと楽しみながら取り組んでいる」と話す。
収穫作業は週に2回行い、1日平均でコンテナ25箱前後、400㌔ほどを収穫。地元スーパーや直売所、東京都内スーパー1店で販売する。果肉が凍らないように糖やアミノ酸が増加することで、生でも甘みが強く食べやすいのが特長だ。
本年度産は播種1週間後や10、11月に雨が多かったため実割れが発生し、規格外も多く出てしまった。「天候に左右されることも多く、難しさを感じている。年が明けてからの降雪量は十分だが、柔らかい新雪では機械が進みづらく難儀だった」と佐藤さんは振り返る。
同法人では、地場産の冬野菜に親しみ、食育の推進を図る市の事業「冬野菜を食べる会」として食育活動にも寄与。市内7か所の保育所へニンジンを提供する。この日は「社会福祉法人吉田愛児会 吉田保育所(佐藤芳知所長)」で開催され、園児ら68人が佐藤さんから説明を受けた。タラのオーブン焼きや五目納豆に使用された他、生の状態で他のニンジンとの食べ比べも行われた。
献立を考案した佐々木貴美子栄養士は「ニンジンの甘みを生かすため、調味料を控えた。給食を残さないで食べ切り、おかわりをする園児が今日は特に多かった」と話す。
佐藤さんは「子どもたちが喜んで食べている姿はとても励みになる。行政からの支援のおかげで売り先はあるものの、納品する量が不足している現状。規格外を減らし、安定生産を目指して取り組みたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!