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2020年7月1週号 和牛生産③
「脚は命の次に大切」年2回自ら削蹄 - 土田繁喜さん

 羽後町上仙道の土田繁喜さん(64)は、水稲4㌶を栽培しながら、和牛一貫経営を行っている。
 父・忠男さんの代に肥育牛の飼育を始め、繁喜さんが畜産に取り組み始めた1977年ごろに一貫経営へ切り替えた。「一貫経営は、市場で売り買いする際に発生する中間経費などが少なく済む。良い子牛が生まれるよう、母牛の能力を高めることを心掛けている」と話す。
 現在は妻のシマ子さん(65)と共に、繁殖牛22頭と肥育牛5頭、子牛16頭を飼育。肥育牛を東京都中央卸売市場食肉市場、その他は由利本荘市のあきた総合家畜市場に出荷する。
 牛削蹄師の資格を持ち、自ら削蹄を行う。「牛にとって、脚は命の次に大切」と繁喜さん。蹄の管理が悪いと脚に力が入らないため、正しい姿勢を保てずに能力が衰えたり寿命が縮んだりする原因にもなる。「良い牛を育てるためにも、年2回ほど手入れをしている」と説明する。
 餌は、牧草と稲発酵粗飼料(WCS)などを、朝と夕方にそれぞれ2時間かけて与える。牛の年齢や大きさによって、分量を変えているという。「細かい作業だが、妥協すると牛の発育に差が出るため、それぞれの牛に合った給餌をしている」と話す。
 毎日牛の様子をよく観察しているという繁喜さん。放牧をせずに常に牛舎に入れているため、ストレスがたまらないように声を掛け、安心感を与えるようにしている。また、成長促進剤(ホルモン剤)などの注射はストレスを与えるため、自然の力で発情させ、種付けのタイミングを見逃さないようにしている。「長くやっていると、お産の日がだいたい分かる」という。
 「頑張っただけ応えてくれる産業で、やりがいがある」と話す繁喜さん。「今後頭数が少なくなっても、『あそこの家の牛は良い牛だよ』と周りから言われる牛を作り続けたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!