【秋田市】夏の収穫に向け、トマトの芽かき作業に汗を流す秋田市の小野孝太郎さん(37)。就農して3年目を迎える。同市仁井田にある露地50㌃とビニールハウス1棟で野菜を栽培し、年間30品目ほどを出荷する。
以前は農業と全く関わりがない普通の会社員として働いていた小野さん。仕事を辞めてアルバイト生活を送っていたとき、知人を通じて出会った潟上市の若手農家と仲良くなり、農業に興味を持つようになった。
その後農業の未来に可能性を感じて就農を決意し、県の未来農業のフロンティア育成研修に参加。知識と技術を取得し、2016年に就農した。
就農にあたり、条件の良い農地を探すのが大変だったという。「農地中間管理機構にお願いし、休耕地だった今の農地をなんとか借り入れることができた。自宅から近くて排水も良いのでとても満足している」と話す。
小野さんはトマトやナスなど定番の夏野菜を栽培する他、オクラの仲間「オカノリ」やロシア料理のボルシチに使われる「ビーツ」など珍しい野菜の栽培にも積極的に取り組む。収穫した野菜は週に3回、市内のスーパーや直売所に出荷する他、週に1回、市内の飲食店にも配達している。また、健康野菜として最近注目されている「キクイモ」も栽培し、県内の企業と直接出荷契約を結ぶなど、販路を拡大している。
「少量多品目栽培をしているため、その日の天候や生育状況に応じて作業の順番を変えるなど、柔軟性をもって対応している」と話す。
「今の面積を維持しながら中心となる品目を確立し、毎年安定した収入を得ることが目標」と今後について話す小野さん。「秋田の農業はまだ稲作がメインだが、今後は変化していくと思う。農業には、まだまだ可能性がある」と前向きだ。
▽経営規模=露地50㌃でトマト・ナス・ズッキーニ・ネギなど、ハウス1棟でニラ・パクチー・バジル・ベビーリーフなど