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2018年7月3週号
理想の小玉スイカを求めて - 伊藤賢一さん
 【大館市】小玉スイカ「あきた夏丸チッチェ」を露地15㌃で栽培する、大館市比内町片貝の伊藤賢一さん(49)。JAあきた北小玉スイカ研究会(会員12人)の会長も務めながら、より良いスイカ作りのため工夫を凝らして日々作業に励む。

 「水分はスイカの一番の大敵だね」と伊藤さん。急激に水を吸うと玉が割れてしまうため、畝に雨水が浸みないよう、ビニールを地面に張る。「自然に排水できるように勾配をつけているが、間に合わない時はポンプを2つ使う」と徹底する。 
 「栽培場所は転作田で、風当たりが強く、傷が付きやすい。「西側に植えると西風をまともに受けるし、東側だと西日の直撃で日に焼けて色付きが悪くなる。奇麗なしま模様ができるように、植える方角を試行錯誤している」と明かす。
 6月下旬には、花が咲いた時に畝の真ん中に来るように調節する「ツル引き作業」を行った。「花がトンネルの外に出ると、雨に当たり生育に影響する。どこにツルを置くか、夢にまで出てくるよ」と苦笑いする。  

 定植して約1カ月後をめどに、人工授粉の交配作業に取りかかる。「収穫適期を見逃さないように、交配した日を必ず記録し、クレヨンでツルを色分けしている」と工夫する。
 出荷時期は7月下旬から盆明けころまで。毎日会員全員で箱詰め作業を行う。「営農スタイルは違うが、みんなで力を合わせているよ」とほほ笑む。会員同士お互いの圃場に出向き、情報交換をする他、新たに栽培を始めた人への助言なども欠かさない。  
 伊藤さんが栽培を始めてから約10年。今年は株間を畝ごとに80㌢と1㍍に分けて定植した。「植える間隔を変えて、ツルの本数も6本と8本にしてみた。収穫量にどう影響するかが楽しみだ」と期待する。

 JAあきた北施設運営部の工藤大輔営農指導員は「研究会の運営などにもご協力をいただいている。これからも会員全員で産地を大きくしていきたい」と話す。  
 今後に向けて伊藤さんは「1250玉以上の出荷を目指している。そのためにも、1株からできれば5玉収穫したい」と力強く話す。  

 ▽栽培規模=水稲7・1㌶、原木シイタケ6千本、比内地鶏1万2千羽
次号をお楽しみに!