2020年10月1週号 希ら星登場者のその後④
順調な和牛繁殖 2卵移植に意欲 - 杉原基康さん
「小さな頃から祖父が牛を飼っていて、自分も将来はやってみたいと思っていた」と話すのは、鹿角市花輪の杉原基康さん(32)。3年半前に紹介した当時は和牛の飼育を始めて間もなかったが、経験を積み、繁殖牛14頭と、預託されている繁殖牛42頭、和子牛7頭の合計63頭を飼育している。
杉原さんは地元の高校を卒業後、岩手県立農業大学校で畜産を専攻し、家畜人工授精師の資格を取得。JA新いわてに就職し、人工授精の仕事に4年間携わった。さらに、畜産農家としての独立を視野に、北海道上士幌町で牛1万頭以上(肥育・育成・酪農)を飼育するグループ会社の牧場に2年半勤め、繁殖牛の管理を経験。その後、2016年に地元で就農し、翌年に本紙で紹介した。
前職で人工授精や母牛の管理をしていたため自信はあったが、「飼育を始めて間もない頃は脱水など子牛の変化に気付けず、『獣医さんを早く呼べば良かった』と後悔することが多かった」と杉原さん。今では子牛の管理に慣れ、事故率が減ってきているという。また、牛舎を隅々まで掃除し、ワクチンを使用して予防するなどしている。
就農した当時から「100頭飼育すること」を目標に掲げ、「順調に達成に近づいている。設備投資などやることはまだあるが、この仕事にやりがいを感じる」と話す。「人工授精師として今後『2卵移植』に挑戦したい」と杉原さん。二つの受精卵を移植し、双子の出生率が向上する技術を取り入れていきたいと意欲を見せる。
次号をお楽しみに!