鹿角市花輪で「鹿角りんご」60㌃と「北限の桃」50㌃、シンテッポウユリを栽培する松田里美さん(59)は、今年から訳ありのリンゴをふるさと納税の返礼品に提供している。
収穫したリンゴのほとんどをJAに出荷し、直売などでも販売する松田さん。昨年11月、鹿角市からふるさと納税返礼品の発送を委託されている株式会社恋する鹿角カンパニーから「贈答用よりも着色が薄く、傷が付くなどした訳ありの家庭用リンゴを、返礼品に出品してみないか」と提案があったという。
2月上旬に発送する計画で、11月ごろに収穫したリンゴを0度前後に設定した冷蔵庫で保存。1万円寄付者に、「サンふじ」を入れた10㌔の段ボールを50箱出品した。
「JAだと人に直接渡らず、傷があったりすると選別段階で加工用に回されたりするが、ふるさと納税は寄付者に直接送られるので、慎重に選果した」と松田さん。贈答用ほど高品質ではなく、かつ返礼品として出品できる品質を選ぶ線引きが難しいと感じている。
今年のリンゴは全国的に豊作で、新型コロナウイルスの影響もあり単価が安いという。その点、「これまでの出荷に加え、返礼品に出品を行ったことで収入が増える。1箱当たり約3千円が収入になると聞いている」と話す。
同市総務部政策企画課の柳原大哉主事は「市のふるさと納税の約5割を鹿角りんごが占め、3割が家庭用の注文を受けている。シャキシャキした食感が好評で、リピーターが多く、青森県産や長野県産よりおいしいという声もいただいている」と説明する。「松田さんは、悪い品質を出せば市の評判が落ちると考える責任感が強く、信頼できる人。市として、これからもふるさと納税を通して農家さんの手助けになるようにしていきたい」と話す。
松田さんは今後、JAなどへの出荷を続けながら、返礼品の出品量を増やしたい考えだ。「ふるさと納税は鹿角市の宣伝になる。市場を通して販路の無かった関西より西への発送が多かったので、これからも鹿角りんごを通して全国の人に魅力を伝え続けていければ」と話す。