2021年6月3週号 収入保険 保険金等受け取り⑦
夏の低温でブドウ生育障害 - 小田嶋和美さん
横手市中杉沢地区の小田嶋和美さん(56)は、ブドウを1・8㌶で栽培し、「シャインマスカット」に絞った経営を展開する。
以前は水稲やリンゴ、ブドウ、スイカなど品目を分散させ、複合経営でリスク対策を行っていた小田嶋さん。ブドウに特化するため、徐々に移行を進めていた。作物を絞ると、異常気象や市場価格の低下などで収入が左右されやすく、リスクが高まると考えていたところ、収入保険という新しい制度が始まるという話を聞き、興味を持ったという。
説明会に参加し、補償範囲が広く、心配しているリスクに備えるにはぴったりだと感じ、制度が開始した2019年に加入した。
「昨年は夏場の低温でブドウの生育障害が発生し、収量が思うように上がらなかった。自分も近所の農家も経験したことがない被害だった」と小田嶋さん。収穫後は一番利益が出る直売所で集中的に販売して収入が回復するも、最終的には減少に転じた。
NOSAIへ問い合わせたところ、1割以上の収入減少は対象になると回答があり、後日、保険金が支払われた。「減収の幅から、以前加入していた果樹共済なら対象にならないと思っていたのでほっとした」と安堵の表情を見せる。現場確認などの損害評価が無く、収穫の日程調整の負担が無かったことも良かったという。
つなぎ融資があることにも魅力を感じている。「今回は使わなかったが、被害が大きく緊急に資金が必要なときに無利子で融資を受けることができるのは助かる」と話す。
「自然災害はもちろん、市場価格の下落などさまざまなリスクに備える方法の一つとして、収入保険への加入は、とても心強いと思う。規模拡大や経営形態を変えて、農家を長く継続していきたいと考えているなら、一度説明を聞いて検討してみるべきでは」と勧める。
次号をお楽しみに!