農業共済新聞

トップ > 広報活動 > 農業共済新聞 2021年10月1週号
2021年10月1週号
独自ブランドの確立目指す - 沢田石武瑠さん
 ハウス9棟2㌶で野菜30品目を栽培する秋田市四ツ小屋の沢田石武瑠さん(28)。土作りや栽培品目の選定などに力を入れ、「SENTE」という屋号から名付けた名称で農産物のブランド化を目指す。

 実家は代々続く農家で、武瑠さんは5代目。東京農業大学・大学院で農業経営などについて学んだ後、秋田市園芸振興センターで研修を受けて2年前に就農した。父の基もといさん(57)が主に水稲約13㌶、武瑠さんが野菜を担当する。
 実家の畑の土が痩せていたことから、これまで学んだことを生かした土壌改良に取り組んできた。秋田杉の間伐材を使った「炭」と「木酢液」、男鹿の海洋水が生んだ「にがり」、横手市で採れる「八沢木白土」といった秋田の天然資源四つをベースに土壌改良材として畑にすき込み、地力を高めることに努めている。
 これらの天然資源には殺菌作用や土壌改善、微量要素などがある。武瑠さんは「土壌を改良したことで植物が丈夫に育ち、品質や大きさなどが大きく変化した」と話す。特に人気のナスはつやがありみずみずしく、トウモロコシは糖度が高いため、全国から注文が来るほどだという。
 品目の選定に力を注ぐ武瑠さん。主に京都府で取れる「九条ねぎ」や、イタリア生まれのパプリカ「パレルモ」など新しい品目を3割ほど取り入れた。冬取りのタマネギやナスを、5~11月にハウスで栽培。長期間の供給を目指す。
 また、今年は35㌃で水稲「いのちの壱」を作付けた。「日本一粒が大きいといわれ、食味が良い。10月下旬の収穫が楽しみ」と笑顔を見せる。
 研修の際、武瑠さんに現地指導したという同市の菅原雄さん(42)は「とても熱心で、朝から夜まで学ぼうとする姿勢が強かった。今でも連絡を取り、情報共有をしている」と話す。
 野菜は、同市のナイスフォンテAKITA店や、いとく秋田東店などのスーパー、飲食店、個別販売など幅広いルートで販売する。
 「お客さまが購入して口に入れて『おいしい』と言ってくれるまでが自分の仕事。自分の野菜を食べて幸せになってもらえることが何よりうれしい」と武瑠さん。「SENTEのロゴを見ただけで購入してもらえるぐらい良い農産物を作り、ブランド化するのが目標。つらいことの方が多いが、農業の可能性を広げたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!