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2022年2月2週号 収入保険つなぎ融資利用②
米単作で予想外の打撃 - 伊藤孝弘さん
 「外食産業が冷え込み、米の需要が減少していたので、買い取り額が低下すると予想していたが、想定より下がり幅が大きかった」。由利本荘市本荘地区で水稲8㌶を栽培する伊藤孝弘さん(46)は、2021年産の米価についてこう話す。
 昨年、JAの概算金が低下したため、民間の米卸売業者の買い取り額も同程度下がることを想定し、収穫後に支払う資材費について考えた。資金が一時的にショートしてしまう可能性があり、収入保険に加入していたため、つなぎ融資を申請。資材費の支払いなどに充てることができた。
 JAと民間の米卸売業者に分けて出荷し、水稲単作経営に努めている伊藤さん。JAには収量と低コストを重視した加工用米、業者には品質と食味を重視した特栽米「コシヒカリ」とすみ分けがされている。
 さらに加工用米は水田リノベーション事業を活用し、低コスト生産などに関する3項目以上に取り組み、補助金が交付されたが、米価下落の影響は予想以上だったという。
 作業効率を高めるトラクターなどの更新を考えていた伊藤さん。「まだ先が見えない状況で、リスクを負うわけにはいかない。資金計画を見直さざるを得なかったので更新は延期した。新型コロナや外食産業の需要が回復しても、しばらくこのくらいの値段で推移するだろう」と予測する。
 経営移譲以前は税理士事務所に勤務しながら、農業を手伝っていたが、10年ほど前に父親から農業を引き継いだ。勤務経験から経営移譲した時、すぐに青色申告を始めた。ここ数年は地元の土地改良区で働きながら規模を徐々に拡大して、今年は10・4㌶ほどになる予定だ。
 収入保険への加入を検討した時は、自分が体調を崩し営農ができなくなることや、民間の米卸売業者が倒産してしまった場合などを想定。今回のような価格下落にも対応できる収入保険は、心強い存在だったという。
 伊藤さんは「今年は『サキホコレ』の栽培に取り組む。兼業農家なので、機械化や省力化に取り組める水稲単作を続けていく。まだまだ厳しい状況だが、アンテナを広げ、いろいろな情報を農業に生かせるようにしたい」と話す。
次号をお楽しみに!