2022年4月3週号
「亀之助ねぎ」親子3代で守りぬく - 石橋暎祥さん、庸宏さん
大仙市四ツ屋の石橋暎祥さん(82)と息子の庸宏さん(59)は、野菜10品目以上を約1㌶で手掛けながら、伝統野菜「亀之助ねぎ」を5㌃で栽培。一般的なネギの需要が広がる中、暎祥さんの祖父から受け継がれた伝統を守り続けている。
亀之助ねぎは柔らかくて甘みがあるのが特徴。石橋家の3代目が育成した品種で、屋号「亀之助」から命名された。5代目の暎祥さんが引き継いだ当時は作付面積が20㌃ほどで、ネギの中では亀之助ねぎが主力だったという。しかし、傷みやすいため流通に向かないことや一般的なネギの需要増から5㌃まで減少。それでも「夏扇パワー」などの一般的なネギの品種を主力としつつ、伝統を守り抜く。
石橋さん方では3月の播種後、亀之助ねぎを3回のシーズが播種した年の秋で、見た目は通常のネギより細くて短い状態。残りは雪の下で冬を越し、春に2回目の収穫シーズンを迎える。3回目は、その数カ月後の夏。大きく硬い状態に成長している。
暎祥さんは「亀之助ねぎは甘みが強く、雪の下で冬を越した後は、さらに甘みが増しておいしくなる。鍋やみそ汁に入れて食べるのが好き」と話す。
全収穫量の約10分の1に当たるネギから自家採取するという。3回目に収穫する頃、「ねぎぼうず」から種を取り、翌年春の播種まで保存する。管理方法は一般的なネギとあまり変わらないが、「一昨年は雨が多かったため、腐って収穫量が減った」と振り返る。
亀之助ねぎは「よねや・とまき店」などのスーパーや直売所に出荷するほか、秋の収穫分を仙北市田沢湖のレストラン「ORAE」に卸す。よねや・とまき店の大木祐介店長(40)は「数年前から販売している。初めて見て珍しいネギだと感じた。石橋さんの野菜を名指しで買いに来るお客さまが多く、よねやにとっては無くてはならない存在」と話す。
石橋さん方では亀之助ねぎのほか、伝統野菜「石橋ごぼう」を栽培。庸宏さんの息子2人も農業に携わっていて、いずれ後を継ぐ予定だという。庸宏さんの次男・陽平さん(30)は「少量ではあるが、伝統野菜の栽培をこれからも長く続けていきたい」と話す。
次号をお楽しみに!