2022年6月2週号
つなぎ融資 廃業の危機を救う - 目時勝則さん
「収入保険に加入していなければ営農継続が難しかった」と話す小坂町の目時勝則さん(53)。水稲34㌃とトマト30㌃、アスパラガス75㌃、花き20㌃、その他野菜10㌃を栽培している。昨年、病害や高温による生育不良、最高値で取引される時期の単価下落などが原因となり、収入が減少した。
就農から13年で、ここまでの収入の落ち込みは無かったが、部分的に被害が発生した年は資材費などの支払いに苦労したという。災害や病虫害による減収と品質低下に加え、価格低下も補償される点にメリットを感じ、NOSAI職員の勧めもあって収入保険に加入した。
昨年の被害について「特にトマトのかいよう病による影響が大きかった。苗の段階で病害が一気に広がり、すぐに薬剤で防除したが阻止することができなかった」と話す目時さん。トマトを作付けていたハウス3棟全てで被害が発生し、廃業を考えるほど深刻だった。
保険金の支払いは翌年6月ごろになるため不安を感じていたが、つなぎ融資のことを思い出し、すぐに申請。「申請から融資を受けるまでが迅速で良かった。税務申告後に支払われた保険金は春の運営資金に充当でき、補償の厚さに助けられた」と喜ぶ。
現在は同じ被害に遭わないよう土壌改良や防除対策を徹底。土壌菌のバランスを整える作業に力を注ぐ。ハウスを出入りする際は、菌や害虫の侵入を許さないよう細心の注意を払う。
所属するJAの野菜部会では、収入保険が話題に上ることが多いという。加入初年の納入額が大きいため迷っている人に向け、「安定的な営農を続けるためにも加入をお勧めしたい」と話す。加入条件の青色申告については「青色申告会やJAの税務友の会を通してやると簡単。いろいろな方に教えてもらいながらできる」と切り替えを勧める。
農家の努力ではどうにもできない市場価格の下落にも対応している収入保険は、今後農家の助けになると考える目時さん。収入保険制度について「補償限度9割ではなく、10割補償になってくれれば」と期待を込める。
次号をお楽しみに!