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2022年6月3週号
経営安定させる優秀なツール - 小川忠洋さん
 横手市大沢の小川忠洋さん(64)は「シャインマスカット」や「巨峰」などの大粒種をメインに、ブドウ15品種を2・1㌶で栽培する。以前は果樹共済の特定危険方式に加入していたが、制度が開始した2019年に収入保険へ移行した。
 「収入保険は特定危険方式で補償されていた自然災害のリスクだけでなく、鳥獣害による減収や価格の低下など、さまざまな収入減少をカバーできる。幅広い補償が魅力だ」と小川さん。「初年は積立金の負担が大きく感じるが、国庫補助が75%もあり、補填に使わなければ翌年に持ち越せる。保険料も果樹共済の掛金より安い」と話す。
 同市では20~21年の冬、記録的な大雪に見舞われ、小川さんの園地でも2㍍以上あるブドウ棚が雪の中に完全に埋まった。知り合いなどに頼んで除雪作業を連日行ったが、間に合わず、棚は全て倒壊。小川さんは「県や市の助成があり、棚は見た目には復旧できた。
しかし倒木や枝折れなど樹体の損傷は大きく、収量は思っていた以上に減少した」と振り返る。
 今年の3月上旬にNOSAIへ青色申告書類を提出し、約2週間で保険金が支払われた。「簡単な手続きでスムーズに進めてもらい、ありがたかった」と話す。
 現在は雪害対策のため、ブドウ棚を20㌢程度高くするよう少しずつ整備を進めている。「4年連続で大雪になったこともあるし、秋に台風が発生すると大きな打撃を受ける。対策をしても農家の努力では防げないこともある」と小川さん。「そんな中、経営を安定させるツールとして収入保険は優秀だ」と評価する。
 消費者ニーズに応えられるよう、新しい品種の試験栽培にも積極的に取り組む小川さん。今後の目標は「安定収入で営農を継続すること」と話し、「後継者が“農業をやりたい”と思える経営を目指し、これからも頑張りたい」と先を見据える。
次号をお楽しみに!