2022年11月1週号
リンゴ30品種 作業の省力化を追求 - 斎藤亨さん
2・7㌶でリンゴ栽培に取り組む由利本荘市西目町の斎藤亨さん(61)。西目町で盛んなリンゴのわい化栽培を導入している。さらに管理作業の省力化を追求して、さまざまな栽培方法を採用。工夫を凝らし、果樹栽培に取り組みやすい環境づくりを目指す。
亨さんは農業大学校を卒業した20歳の時に就農。現在は妻の明美さん(54)と共に園地を管理している。園地全体の約4割を占める「ふじ」のほか、「秋田紅あかり」など約30品種を手がける。わい化栽培について亨さんは「雪の少ない地域だからこそできる方法。樹高を低くして、樹上完熟できるのが特徴だ」と話す。普通栽培と比べて作業の効率化を図れるほか、樹冠内に光が入りやすいため着色管理がしやすく、甘い果実になるという。
今一番力を入れているのは作業労力の軽減だ。わい化栽培に加え、高密植栽培やジョイント栽培を取り入れて樹体管理のしやすさを追求する。「この栽培方法を確立することができれば、作業が楽になる。リンゴを作る人が増えるのではないか」と期待する。
JAなどの系統出荷はせず、自分で全て販売。市内のスーパーに卸すほか、受注販売を行う。「自分で売る分、袋詰めなどが大変。自然災害の被害に遭うと心が折れそうになるが、お客さんの反応を直接聞けることがありがたく、励みになっている」と話す。
亨さんは、販売できない傷果を活用し、無添加のジュースを販売。製造は鹿角市の加工所へ委託している。昨年は3千本ほどを販売したという。
「ジュースは年中販売できるのが良い。品種によって果汁の色が違うので、色の違いを見てもらえるようにガラス瓶に入れている」と説明。ラベルには屋号である「久兵衛」の文字を記した。ジュースはふるさと納税の返礼品に採用されているほか、道の駅にしめの物産館などで販売する。
由利地域振興局農業振興普及課の佐藤智則副主幹は「亨さんは常に新しいことに挑戦する人。これからも地域を引っ張っていってほしい」と話す。
水稲3㌶の栽培や比内地鶏1500羽の飼育にも取り組む亨さん。「若い世代の人たちに、リンゴ栽培に取り組んでもらえるような環境づくりに努めたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!