農業共済新聞

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2022年11月3週号
野菜50品目 祖父母と共に汗 - 宮本昌子さん

 「祖父母に生きがいを感じてもらうため、一緒に農作業に励みたいと思った」と就農のきっかけを話す大館市観音堂の宮本昌子さん(36)。2021年10月に北秋田市七日市にふかさわファームを立ち上げ、野菜50品目を手がけている。
 小学生の頃から祖父母が育てた野菜の出荷作業を手伝っていた宮本さん。「幼い時から農業に関心を持っていた」と振り返る。前職は理学療法士で、高齢者福祉施設でリハビリを担当。「基本動作の回復に努めるだけでなく、なじみのある農作業や体験を通して、高齢者の心も動かしたいと考えていた」と話す。
 リハビリの経験を生かし、祖父母にも心と体が豊かな生活を送ってもらうため就農を決意。退職後からは休日を利用して北秋田市の祖父母宅に向かい、農作業に一緒に取り組んだという。
 昨年立ち上げた同ファームでは、畑20㌃でシシトウやインゲンなどを栽培。山から引いた水を用いて作業をする。「畑が広くない分、管理がしやすい。除草剤を使わずに手で草取りをするなど、地道で小まめな作業を心がけている」と説明する。
 毎朝、大館市から北秋田市まで通い、午前6時までに収穫を終わらせる。その後はパック詰めや袋詰め、畑の管理を行い、午後6時には全ての作業を終える。
 野菜はJAに出荷するほか、大館市の早口市日やイベントで販売する。さらにネット販売を開始。「注文の受付やデータ管理が大変」と話す。手間はかかるが、自分が育てた野菜を全国に届けられる喜びを感じているという。
 宮本さんは今後、収穫体験などのイベント開催を検討している。「近くに空港があるので、県外からも参加してもらいたい。作物の観察や収穫を通じて、農業の魅力を感じてほしい」と笑顔を見せる。JA秋田たかのす営農部園芸畜産課園芸指導販売係の片岡新係長は「宮本さんはいつも品質の良い野菜を出荷している。今後も頑張ってもらいたい」と期待する。
 経営規模を維持しながら、加工品の生産も視野に入れている宮本さん。「今以上に研さんを積み、品質を追求していきたい」と張り切る。
次号をお楽しみに!