「冬作の野菜は、寒さで凍らないようにと甘さが増しておいしくなる」と話す由利本荘市矢島地区の今野千代子さん(70)。ハウス5棟9・7㌃で、冬期間にホウレンソウやコマツナ、リーフレタスなど葉物野菜約10品目を手がけている。
ハウスでは夏にミニトマトを栽培。ミニトマトを収穫した後の9月末から冬作で植え付けする野菜の苗を作り始め、10月下旬に定植する。収穫は12月から4月中旬まで。
今野さんは「冬に栽培するメリットは管理がいらないこと。植えてしまえば、その後は手がかからない。寒さで虫や病気が発生しないから農薬を使わなくて済むし、水管理もしなくていい」と説明する。
栽培する野菜は、寒さに強い品目を選定。「市場での売れ行きを考慮して選んでいる。今年はナバナを選んでみた。何を作付けようか考えるのが毎年の楽しみ」とほほ笑む。凍害が起きにくい品目を選ぶが、あまりにも気温が低いと凍って品質が落ちてしまい、出荷はできない。そのため毎年選定し直して、安定出荷に努めているという。
ハウスの雪害対策では、小まめな除雪を心がけている。気温が低いとハウスに付いた雪が解けず、放置すると雪が重なって付き、重さでハウスがつぶれてしまう。「ハウスを守るために、人の手で雪を払い落としている。ハウス周りの除雪は半日ほどかかるので苦労している」と話す。
今野さんは、2020年12月の大雪でハウスがつぶれた経験を持つ。その教訓から、間口4間のハウスは、全て支柱を入れて補強している。「作業の効率性は落ちてしまうが、災害への備えとして補強は必要。万が一のために園芸施設共済に加入しているので、安心して作業ができる」と話す。
野菜は同地区の直売所「やさい王国」や市内スーパーに出荷している。「今年の冬は寒さが厳しい。その分、甘く育った野菜をぜひ食べてほしい。今後も新しい品目に積極的に挑戦していきたい」と意気込む。
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