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あきた版3月2週号
地下水熱ヒートポンプシステム - 農事組合法人アグリピース
 ハウス53棟3180坪で菌床シイタケの周年栽培に取り組む横手市十文字町の農事組合法人アグリピース(佐々木比古エ門代表理事、73歳、組合員5人)。地下水熱ヒートポンプシステムを導入し、生産コストの削減に力を注ぐ。
 同法人では元々、一般的なヒートポンプを活用した空冷式エアコンを設置していた。買い替え時期に、周囲で地下水熱ヒートポンプシステムを導入している話を聞き、切り替えを検討。5年前は3棟、昨年は12棟のハウスに設置した。
 以前のエアコンのヒートポンプは、空気中の熱を集めて電気の力でハウス内の温度を調整する仕組み。一方、同法人が利用するシステムは、地下水を熱源とする。佐々木輝英理事代行(47)は「エアコンは外気温が急激に変化すると、熱をつくり出す電気が多く必要になり、効率が悪い。地下水は年中ほぼ一定の温度を保つため、真夏や真冬も少ない電気量で効率よく温度設定できる」と話す。
 ハウス内は生育状況を見ながら、10~23度の幅で温度を設定。導入前の冬場はエアコンとボイラーを併用していたが、地下水熱ヒートポンプを導入したハウスではボイラーを使用しなくなったという。
 佐々木理事代行は燃料コストだけでなく、菌床シイタケの生産性向上を実感。「安定した温度管理が可能になり、仕事の休み明けでも品質が落ちにくくなった」と話す。
 同法人では、地下水熱ヒートポンプシステムを活用するほか、断熱材でハウスを囲うことで外気の影響を受けないようにし、電気代の削減につなげている。
 また、季節や気候に合わせた栽培計画を組み、エネルギー使用量を減らしたいという。「菌床ブロックは数カ月培養した後に発生の工程へ移るが、培養期間を春から秋の暖かい時期に当て、それ以外の期間にシイタケを発生させるのが効果的だと考えている」と話す。
 ハウスを増築する計画はないが、工夫して生産量を伸ばしたいという佐々木理事代行。「『横手のシイタケといえばアグリピース』と言ってもらえる生産者になれるよう頑張りたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!