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あきた版5月1週号
秋田に適したイチゴを - JUTAS
 秋田市上新城地区でイチゴの栽培研究を行う農業技術コンサルティング企業「JUTAS」(ジュータス)。低コストで運用可能な栽培システムを開発・普及させ、農家の収益確保や地域農業への貢献を目指す。
 同社は、冬期間の副収入につなげることを目的に研究を開始。多くの作物の中から収穫期間が長く、年間を通して一定の需要が見込め、単価が高いイチゴに着目した。
 栽培環境が秋田に適し、県民好みの品種を特定するため、2020年12月に試験栽培をスタート。4間×8間のハウスでこれまでに30品種以上を手がけてきた。現在は2、3品種に絞り込む最終段階だ。マネージング・ディレクターの倉井友寛さん(43)は「糖度を上げるためには寒暖差が重要で、秋田は最適な環境だった」と話す。
 栽培では重油を全く使わず、井戸水や水道水をハウス内のタンクで循環させる水耕栽培を採用。県内では初の試みだ。冬期間の暖房は不要で、品種や生育期に合わせた養液を循環させるため、肥料の無駄もなくランニングコストを大きく削減できる。
摘葉・摘果などもほぼなく、省力化と簡便化も図っている。「少ない設備投資で収入が得られ、初心者でもすぐに収益確保できることが理想」と倉井さん。栽培棚はホームセンターで購入できる資材で作製し、初期投資のコストを通常の3分の1に抑えることができたという。
 受粉用のハエ「ビーフライ」を導入。「蜂ではなく嫌われもののハエを使うことにした。過剰訪花による奇形果の発生を低減でき、蜂より寒さに強く花を傷つけない」と説明する。曇天でも活動できるため、冬期間の受粉も可能だ。
 空調管理はスマートフォンで行い、労働力の削減につなげている。研究データを収集している段階だが「だれでも・どこでも・どんなものでも」をコンセプトに、少しでも作業が省力化して楽になり、収益性が高まるよう試行を重ねる。東北エリアマネージャーの髙橋凌汰さん(27)は「イチゴ栽培は全くの未経験。倉井さんの助言のおかげで栽培技術を習得することができ、自信につながった」と話す。
 倉井さんは「ぜひ秋田の皆さんに興味を持ってもらい、イチゴ栽培を見に来てほしい。完熟したイチゴのおいしさを感じてもらいたい」と話している。
次号をお楽しみに!