1日に270㌘ほどしか採取できない貴重なわらび粉作りを手がける由利本荘市三ツ方森の猪股保さん(75)。わらび餅の原料になるわらび粉を妻と二人三脚で作っている。
わらび粉は、山菜のワラビの根から抽出したでんぷんを精製したもので、国産は希少価値が高い。猪股さんの作るわらび粉は純度が高く品質が良いと、京都の和菓子店で使われている。
始めたきっかけは、地域の集まりで「昔食べた根花餅が食べたい」という声を聞いたこと。根花餅とはわらび餅のことで、地域の伝統食だ。手探りで始めたわらび粉作りは苦労したという。猪股さんは「作ったことがある人を探して訪ね、試行を重ねてようやくコツをつかんだ」と振り返る。
根を掘り起こし、土を洗い落とした根をたたき、こす作業を何度も繰り返すのは重労働。始めた当時は全て人力による手作業だったが、根を洗浄する機械を自作するなど効率化を図りながら取り組む。
「わらび粉作りは大変だが、今まで得たコツを生かしながら、夫婦で力を合わせて続けていきたい」と話す。