独特の香りやほろ苦さに加え、白く長い根が特徴の秋田県選定の伝統野菜「三関セリ」を5㌃(ハウス4棟)で手がける湯沢市三関地区の古川英樹さん(42)。9月下旬ごろから水を入れ、泥状に仕上げたハウス内に、前年産から自家採取した株を移植する。
古川さんは「植える間隔が生育に影響するため、年に一度の移植は不安もあるが、地域に多くの先輩農家がいるので心強い」と話す。同地区は若手農家が多く、44人の生産者で一層のブランド化を目指している。
柔らかい土の中では、真っ白な根が伸び、くわで根を傷つけないよう丁寧に泥を落としながら掘り起こす。11月から2月ごろまで収穫が続く。シャキシャキした食感が人気だ。
地域貢献になればと狩猟免許を2019年に取得し、近年増大している鳥獣駆除活動を精力的にこなす。リンゴ25㌃やサクランボ20㌃も栽培する古川さん。「暑さ対策の確立や質の高いセリ生産を目指し、バランスのいい農業を実践したい」と笑顔を見せる。