あきた版2月3週号
自家産ダイコンでいぶりがっこ 昔ながらの製法守る - 松倉農産物生産加工所
松倉農産物生産加工所を営む大仙市松倉の佐々木肇さん(80)、町子さん(73)夫妻。息子の敦史さん(47)と、いぶりがっこの製造と販売に取り組んでいる。漬物文化が根付く地域で、添加物を使わない昔ながらの製法で加工に力を入れる。
野菜4㌶を栽培する佐々木さん家族。いぶりがっこにするダイコンは、野菜の作付面積の85%を占める。収穫時期など人手が欲しい時は、手伝いを5人ほど依頼している。
食品衛生法の改正で、2021年に加工所をリフォーム。肇さんは「市の水道を引くことに費用がかかった。県外に出荷・販売することが多く、衛生面には特に気を付けている」と話す。
薫煙の香りと深い味わいで酒などに合ういぶりがっこ。パリパリした食感を大事にするため、パック詰めする前に、表面に残ったダイコンのひげ根を包丁で丁寧に処理する。手でちぎると断面がガタガタになり、食感だけでなく見た目も悪くなってしまうという。
インターネット販売ではLサイズ820円や2Lサイズ千円、食べ切りサイズ(160㌘)550円、スライス(120㌘)500円(全て税込み)を用意。
商品の90%は県外で販売され、売れ行きは県内の2・5倍にもなる。県内ではJAやグランマートタカヤナギ、コープあきたなどに出荷する。町子さんは「減少していた漬物の注文もコロナ禍前の水準に戻ってきている」と安堵する。
県内各地のイベントにも出店。「秋田には、まだ知られていない商品が多くある。県や市町村で秋田の物産展などを開催してもらえると、販売者としては大いに助かる」と肇さんは提案する。
JA秋田おばこが運営する産直施設「しゅしゅえっとまるしぇ」の藤田学店長(43)は「漬物だけでなくキュウリなど野菜も出荷してくれている。漬物のパッケージも奇麗でよく売れる」と話す。
肇さんは「お客さんとの会話が楽しみだし、商品を待ってくれていてありがたい。いつまでできるか分からないが、楽しく仕事をしていきたい」と話している。
次号をお楽しみに!