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あきた版5月1週号
登録商標「あきたしらかみにんにく」 共有し産地形成へ - ㈱しらかみファーマーズ
 北秋田市米内沢の株式会社しらかみファーマーズ(2011年設立、社員9人)はニンニクを18㌶栽培し、加工品の製造と販売も手がける。13年に商標登録した「あきたしらかみにんにく」の名称を、産地形成のため四つの農業法人と共有。県産ニンニクの面積と生産の拡大を目指す。
 しらかみファーマーズが栽培するニンニクは寒冷地に適した品種「白玉王」。高い糖度で大玉に育つのが特徴だ。昨年の9月下旬から10月上旬に種球を植え、今年の6月中旬から7月上旬に収穫を予定する。
 土には地元畜産業者から出る有機堆肥を施すほか、大館市比内町で産出される十和田石の石粉や石粒をすき込む。土に混ぜ込むと、ニンニクの発根数が増え、根の伸長が良くなるという。小林郷司代表(56)は「多孔質な団粒化構造を作ることで、有用微生物が定着しやすくなる」と話す。
 ニンニクの付加価値を高めるため、6次産業化にも注力する。収穫した3割のニンニクを独自の高温熟成機で1カ月間発酵・熟成させ、加工品「白神フルーツ黒にんにく」を製造。抗酸化作用がある人気の高い健康食品で、取引先は地元の道の駅など県内外200件を超える。
 あきたしらかみにんにくは、あえて自社ブランドにせず、同じ土壌条件で栽培に取り組む五つの農業法人でつくる「北秋田・大館地域にんにく生産振興協議会」で共有している。会長を務める小林代表は「地域統一ブランドにすることで認知度が高まり、流通量が増える」と利点を話す。
 協議会構成メンバーで、大館市川口にある株式会社gellaの杉渕孝義代表(48)は「協議会が年間生産量100㌧超えを達成できたのは、小林会長の力が大きい。県や金融機関、大学と連携し、販売力と栽培技術を向上させる体制をつくってくれた」と信頼を寄せる。
 しらかみファーマーズは経営のリスクに備え、20年から収入保険に加入。小林代表は「外国産ニンニクが市場に余り、出荷しても安価で取引され、大幅な減収になったことがある。市場価格の下落も補償対象になる収入保険制度は非常に心強い」と話す。
 今後は、安定した価格でニンニクが取引できる仕組みを考えていきたいという。「まとまった数量を販売先に安定供給し、市場価格に左右されない出荷形態を協議会で構築したい」と先を見据える。
次号をお楽しみに!