2018年10月3週号
自然に近い環境で水稲栽培 - フォレストファーム
【湯沢市】湯沢市皆瀬で、より自然な農産物生産に取り組む『フォレストファーム』(佐藤力さん=47歳)。農薬と化学肥料は使わずに、有機肥料を最小限の使用で栽培する米は関東を中心に人気となっている。
兼業農家の三男として生まれた佐藤さんは、農林水産省の職員として8年ほど勤めていた。地域振興に関する調査・計画を担当し、現場で農家から話を聞く機会も多くあった。将来は実家で農業をやりたいという子どもの頃からの思いが日に日に大きくなり、29歳の時に実家に戻り就農した。
就農当時は父親から水田17㌃を借りて、「あきたこまち」農薬不使用による有機農法で栽培を始めた。少しずつその面積を増やし、父親の農業者年金受給に伴い経営移譲されてからは全面積に切り替えた。現在は、農薬と肥料を使わず苗床に米ぬかだけをまく「ササニシキ」を344㌃、農薬不使用で苗床土と圃場に米ぬかだけを施用するあきたこまちを344㌃で作付ける。
佐藤さんは「化学物質による農薬や肥料を使わない事に加え、有機肥料であっても米ぬかだけに制限した栽培法を実践している」と説明。「ササニシキに限っては、育苗床土に米ぬかは入れるが本田では無肥料。土と植物本来の力を引き出すことを大切にしている」と力を込める。
「農薬を使わない性質上、雑草対策が一番重要」と話す。毎年5月下旬に行う田植では、午前中代掻きをして、その圃場に午後田植えをする。1週間以内で終えたら、次の週からはチェーン除草を1週間かけて行い、それを3回やる。その後は圃場の状態にもよるが除草機を2回ほどかけるという。
収穫後はインターネットで販売し、北海道から関西圏までの幅広い顧客を有し完売している。また、玄米や精米での販売の他、発芽玄米や玄米コーヒーの販売も行う。
米以外にもベリー類の栽培(ブルーベリー11㌃・カシス5㌃・ハスカップ3㌃・アロニア3㌃)も行い、自家製ジャムなど加工販売もする。冬場の収入源として3年前からセリを露地5㌃で栽培し、今年は60坪でハウスセリ栽培も始める予定だ。
今後に向け「自分が行っている栽培方法では、面積を増やしたからといって比例して収穫量も増えるわけではない。来年以降は適正に管理ができる面積に改めたい」と佐藤さん。「作業効率を高めながら収量、収入の確保をし、責任のとれる農産物の生産をしていきたい」と力強く話す。
次号をお楽しみに!